2024年9月4日~5日の2日間、いわき市立中央公民館で第13回環境放射能除染研究発表会が開催され、数々の口頭発表やポスター発表、企画展示等が行われました。ふくしまの食相談センターも発足時から毎年企画展示に参加しており、今回で3回目になります。同じフロアでは参加団体による27件のポスター発表も行われており、ポスターセッションの時間は多くの来場者と参加団体による対話が行われ、熱気に包まれていました。
当センターの企画展示では、ホームページをご案内して活動の内容をご説明するほか、昨年度3月に当センターが主催した「第2回高校生から学ぶふくしまの今とこれから」の様子をポスター3枚にまとめ、展示しました。当該イベントに参加してくださった高校の先生や生徒さん、大学の先生も立ち寄ってくださり、次回イベントに向けて期待が膨らみました。また、来場した他の高校の先生や生徒さんもとても関心を寄せてくださったので、福島県内の高校生が中心となって都内で発信することにより、有意義な対話ができたことをご説明しました。このようにいろいろな出会いと交流を通して新たなネットワークが生まれる手ごたえを感じました。
この機会に私たちも交代でポスターセッションに加わり、高校生の学びに刺激を受けたほか、他の参加団体の方々から取り組みについてご説明頂き、福島の今の環境、復興の現状について、新たな知識を得ることができました。
2日目は1階の大ホールで企画セッションとして開催された「中間貯蔵施設周辺復興地域の融合的な環境再生・環境創生」をテーマとする対話フォーラムを、私たちものぞいてみました。登壇者は全国各地から現地フィールドワーク等に参加された4名の大学生の他、学会、環境省、中間貯蔵管理センターのご担当者です。ファシリテーターを務めた学会の実行委員長の万福裕造氏が、大学生に対して「地域を見て感じたことを本音で語ってほしい」と声をかけると、様々な意見や考え方が発表され、壇上で活発な意見交換が行われました。
やはり今、復興の最大の懸念の一つが広大な中間貯蔵施設に保管されている除去土壌の最終処分や再生利用の進捗状況であり、議論の中心となりました。地理的に離れたところほど認知度が低いこと、再生利用の安全性に関する理解の醸成の難しさ、県外最終処分の意義や目的、処分後に目指す街づくりの方向性をどう考えどう示すかなど、課題が山積していることを改めて感じました。そして知れば知るほど答えの出ない難しい問題だということを再認識しました。一方で現地に足を運んで、地域の状況を肌で感じ、若い人ならではの感性で考えたことを聞かせてくださった大学生の皆さんに希望を感じた瞬間でもありました。
除去土壌の再生利用について、皆が自分事として考えられるよう、改めてリスクコミュニケーションの場を広げていきたいと思いました。