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1.2年半ぶりに視察した福島第一原子力発電所
2. 「令和6年度全国消費者フォーラム」に参加しました
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1.2年半ぶりに視察した福島第一原子力発電所
ふくしまの食相談センターでは、福島県産食品の安全性に関する知見を深めるために定期的に関連施設を視察しています。東京電力福島第一原子力発電所の視察も2022年より毎年定期的に実施しています。1月23日、本年度2回目の原発視察会が実施され、発電所内を見学するとともに東京電力担当者から廃炉事業の進捗状況について説明を受けました。
原発視察に先立って、富岡町にある東京電力廃炉資料館を見学しました。担当者からは、原発事故を防ぐことができなかった事への反省と廃炉事業への懸命な取組みについて語られました。
廃炉資料館をあとにして、帰還困難区域を抜け、福島第一原子力発電所構内に入りました。現在、発電所内の空間放射線量は大幅に低減しており、放射線防護服を着用する場所は限定されています。
とはいえ見学は安全第一で行われました。見学者も個人線量計を身に着け、設定された数値(0.02ミリシーベルト)を超えるとアラームが鳴ると説明されました。因みに、1回の見学で被ばくする放射線量は歯医者でのレントゲン検査1~2回分だそうです。
所定の手順を経て専用バスに乗ると、バスの中にも空間放射線量計が取り付けられていました。構内を抜けて1~4号機を見渡すことができるブルーデッキと呼ばれる高台で降車しました。バスの線量計の数値が急上昇していました。
福島第一原子力発電所は約350万平方メートル(東京ドーム約75個分)という広大な敷地に1~6号機までの原子炉が設置されていますが、津波の被害で1~4号機の非常用電源が失われ事故につながりました。ブルーデッキでは各号機の事故当時の様子や現在進めている廃炉作業の状況について説明を受けました。これらの原子炉は、現在廃炉作業のため建屋全体を覆う屋根や付随の建屋で覆われています。廃炉作業に従事する方々は一日あたりにして四千人余りとのことですが、防護服姿の作業員はまばらでした。原子炉の奥に、青い太平洋が広がっている風景がとても印象的でした。
その後、5,6号機に近いグリーンデッキに移動して、ALPS処理水の海洋放出施設を眼下に臨みながら説明を受けました。当日は処理水の放出は行われていませんでしたが、海底トンネルや放出口の様子を目の前の海中にイメージしてみました。
原発構内には処理途上の汚染水やALPS処理水が貯蔵されている大型タンク群があり、また廃炉作業に使用した設備や機材も至る所に置かれていましたが、放射性物質に触れたものを廃棄することの難しさを改めて感じました。構内見学は無事終わり、被ばく線量も0.01ミリシーベルトと想定内でした。
これまで処理水放出や燃料デブリ取り出しについてのニュースに接すると、漠然と心配になったりしていましたが、視察会に参加して廃炉作業が少しずつではあるものの着実に行われていることが分かりました。
そこで働く方々が、廃炉を確実に行い、地域社会への責任を果たしたいと前向きに活動されていることも印象的でした。廃炉という過去に向き合う事業の中であっても、その過程で新しい技術が生まれる可能性にも期待したいと思いました。
☆廃炉資料館 ☆原子炉建屋前
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2.「令和6年度全国消費者フォーラム」に参加しました
令和7年2月21日(金)国民生活センター主催の「令和6年度全国消費者フォーラム」にポスターセッションで参加しました。今年度のテーマは、「未来(明日)の消費者力を身につけよう ―デジタル社会における消費者市民社会形成に向けた行動を考える―」でした。
ふくしまの食相談センターでは、 令和5年3月に福島県内の高校3校を招き、第1回交流会「高校生から学ぶふくしまの今とこれから」を、令和6年3月には高校5校(福島県4校、東京都1校)、大学・専門学校の3校も加わり、第2回交流会を開催しました。福島県内では、震災後の復興に向けた取組みが行われている中、特に次代を担う高校生が地域の未来に向けて様々な活動をしています。今回は第2回交流会(各学校での取組み紹介、高校生・大学生等との活発な意見交換会、ポスターセッション等)の様子を来場されたみなさまに説明するとともに、令和7年3月開催の第3回交流会のチラシを配布し、参加を呼びかけました。
☆当日の風景
【編集後記】
2年半ぶりに視察した福島第一原子力発電所、バスの窓から幼児用椅子を付けた自転車に乗ってバスとすれ違う若い女性の姿を見たときに、少しずつ日常が戻っているような感慨を持ちました。今後もこの地域の復興に関心を寄せてゆきたいと思います。
早いものでふくしまの食相談センターが開設されて4年が経ちました。3月15日開催した第3回高校生交流会も総勢75名の高校生、大学生が参加し、発表や意見交換会、ポスターセッションを行い、大盛況でした。2025年度は年間10回のメルマガ配信予定です。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。