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1.第1回学習会「ふくしまの今を語る人」の開催
2.「電気の史料館」と「みらい創造」展示を見学
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1.第1回学習会「ふくしまの今を語る人」の開催
今年度の第1回学習会として、6月29日(土)に「ふくしまの今を語る人」講演会を開催しました。
この講演会は、食と放射能に関して消費者が不正確な情報や思い込みに惑わされることなく、自らの判断で食品の選択ができるように、福島県の農林水産関係者達が自らの思いを説明・紹介し、消費者と生産者との理解・交流を図る目的で、福島県が実施している事業です。
今回は、郡山市で農家の傍ら野菜ソムリエプロとして活躍する藤田 浩志(フジタ コウシ)氏と福島市で果樹園と直販店を経営する樅山 智美(モミヤマ トモミ)氏のお話をオンラインで伺いました。
①藤田氏は郡山市の農家の8代目&野菜ソムリエ協会から認定を受けている野菜ソムリエで、主にコメと郡山のブランド野菜を生産しており、福島の農業が抱える様々な問題についてお話いただきました。
福島では徹底した農林水産物モニタリングを実施しており、福島の農産物は安全であると言えるのですが、いまだ原子力災害前の売れ行きに戻っていないそうです。その理由として、一度市場から撤退した商品が再度市場に戻ることは大変難しい事、また日本の農業全体が抱える問題ですが、農家離農者の増加、耕作放棄地の増加、農業者の高齢化、商品販売の不振などがある事、そして、「福島は安全である」という科学的知見が広まらず、福島のイメージが事故直後のままという人がいる事などを挙げました。
これらの問題の解決に向けて、藤田氏は、「自分のやりたいことはいったい何なのか」を原点に戻って考えたそうです。藤田氏の「やりたいこと」は「おいしい農産物を育てみんなに楽しんでほしい!」ということでした。まずは「自分がやりたいこと」を先におくことで「自分たちの生活を、未来の子供たちの生活をよくするためにどうやって地元を良くしていこうか」というスポットの当て方を提案したい、と熱く語っていただきました。
②樅山氏は、「よつ葉のクローバーFARMERS GARDEN」の代表として、果樹園農家と直売所の運営をしています。東日本大震災、福島第一原子力発電所の事故、その後の除染作業、そのあとに起こった風評被害と安全安心を伝えるための取り組みについてお話いただきました。
現在は「福島の農業を幸せに創造していく未来への取り組み」として、自ら経営する『人が幸せに集う直売所』に人を呼び込み、地域ぐるみの活性化を図る。そして、耕作放棄地の有効利用策を考え、果物の産地福島として復興に取り組むなど、多くの活動をしています。福島には素敵な観光地・温泉・おいしい食べ物がたくさんあるのでぜひ遊びにきてくださいと明るくお話いただきました。
お二人からの熱意溢れるお話を伺い、私たちも福島で頑張る生産者の皆さんを一緒に応援したいと思います。
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2.「電気の史料館」と「みらい創造」展示を見学
2024年7月10日(水)と12日(金)の2日に分けて、東京電力ホールディングス㈱が運営する「電気の史料館」と隣接する経営技術戦略研究所にある「みらい創造」展示を見学してきました。
①電気の史料館は、世界中で実際に使用されていた約700点におよぶ電力設備を展示する博物館です。古代ギリシャの時代から現代に至るまでの電気事業の歴史について、順を追って学べる造りになっています。巨大な水力発電所の設備や、鉄塔の展示もあり、現代の生活で当たり前に使われている電気が、過去の様々な技術開発と人々の尽力で築かれて来たことを実感しました。木製冷蔵庫や手回し式の洗濯機など、懐かしい昭和家電の展示もあり、あちらこちらで「これ、子どもの頃に家にあったわ」という会話が弾んでいました。
②みらい創造の展示は、「革新的な技術を通じてエネルギーの未来を切り拓く」というコンセプトのもと、地球温暖化の現状や社会環境変化の対応をパネル展示で学べる施設です。最新の技術開発について紹介するコーナーでは、太陽光発電や洋上風力発電等の自然エネルギーを利用した設備の開発状況や電気の新しい価値を作り出す技術開発の取り組みに目を奪われました。
見学後、エントランスロビーの「皇居正門石橋飾電灯」前で、参加者全員で写真撮影をしました。この飾電灯は、1880年代末に二重橋手前の石橋に設置され、以来100年に渡って皇居の入口を照らし続けていたそうです。柱に獅子の顔が型取られた美しい意匠が印象的でした。
※両施設とも、現在は一般開放していません。
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【編集後記】
福島の果物といえば「桃」。夏冬の寒暖差が大きく、盆地特有の夏の暑さや乾燥が過湿を嫌う桃にはよい環境で、県内では約60種類の桃が生産されています。福島県の代表的な桃「あかつき」は大玉で甘味と酸味のバランスがよく、硬くこりこりした食感が楽しめる桃です。追熟でやわらかくジューシーになり、香りやコクが強いのも特徴です。現在、出荷の最盛期を迎えていますが、今年は開花時期となる春先の天候に恵まれて、平均糖度は13度もあるそうです。これからの暑~い季節を乗り切るためにも果汁たっぷりの美味しい福島の桃ぜひご賞味ください。次回メルマガは9月末配信予定です。