今回のテーマ: 宮城県
ふくしまの食相談センターでは、今年度から福島県の近隣県産における食品の安全性についてもお伝えします。今回は宮城県の水産物についてです。
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1.宮城県について
2.宮城県の水産業の特徴
3.「みやぎ水産の日」
4.安全・安心への取り組み
5.相談員からのメッセージ(編集後記)
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1.宮城県について
宮城県は、東京から約300キロメートル北東、東北地方の中心に位置しています。東は太平洋に面し、豊かな漁場と日本三景の一つ松島をはじめとする風光明媚な観光地などに恵まれています。西には蔵王・船形・栗駒などの山々が連なり四季折々の姿を見せ、中央部には有数の穀倉地、仙台平野が広がります。このように海・山・川・平野が調和した自然環境が、豊かで暮らしやすい宮城県をつくりだしています。
◆宮城県 宮城県の位置・気候
https://www.pref.miyagi.jp/site/profile/locationj.html
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2.宮城県の水産業の特徴
宮城県は全国屈指の水産県です。本県の沿岸地域は、県の中央部に突出した牡鹿半島を境に、北は複雑な屈曲を有するリアス式海岸、南は平たんな砂浜海岸が仙台湾を形成するなど地形的な変化に富んでおり、ノリ、カキ、ワカメ、ホヤ、ホタテ、ギンザケなどの養殖業やサケ、タラ、カレイなどを対象とした刺網漁業、小型底引き網漁業などの漁船漁業が盛んです。
一方で、沖合は親潮と黒潮がぶつかる生産性の高い海域であり、金華山・三陸沖漁場は世界3大漁場としても有名です。
また、142の漁港と9か所の水産物産地卸売市場があり、気仙沼、志津川、石巻、女川、塩釜は、沿岸・沖合・遠洋漁業などの漁船漁業の基地であるとともに、魚市場などの流通機能や水産加工業が集積する水産都市となっています。
◆宮城県 宮城の水産業(パンフレット)
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/et-sgsin-sg/miyaginosuisangyou.html
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3.「みやぎ水産の日」
水曜日の「すい」と第3の「さん」と言う事で、毎月第3水曜日は「みやぎ水産の日」です。「みやぎ水産の日」とは、県内で獲れるおいしい水産物や、水産加工品を、もっと知ってもらい、食べてもらうために、宮城県が制定しました。震災から復興を図るため、県内水産物の消費拡大を目指しています。また、宮城の水産物を学ぶ機会や、食べるきっかけになる日としていけるよう、PRしています。
6月のテーマ食材は、イワシ、アサリ、ホヤです。
◆宮城県 令和5年度「みやぎ水産の日」テーマ食材
https://www.pref.miyagi.jp/site/suisannbutu/r5-miyagi-suisannnohi.html
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4.安心・安全への取組み
宮城県では、「農畜水産物等の放射性物質検査計画」に基づいて、農畜水産物の放射性物質の検査を実施し、基準値を超えた場合は出荷を差し控えるよう要請し、市場に流通させない措置などが取られています。検査結果は宮城県のHPなどで品目別に公表されています。
◆宮城県 農畜水産物等の放射性物質検査計画(令和5年度第1四半期分)
https://www.pref.miyagi.jp/documents/23337/keikaku5-1.pdf
◆宮城県 宮城県内流通食品等の放射性物質検査結果について(令和5年4月26日)
https://www.pref.miyagi.jp/documents/23337/20230426syokuhin_housya_press.pdf
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5.相談員からのメッセージ【編集後記】
食材王国といわれる宮城ですが、その中でも代表的な食材が「カキ」です。宮城県の養殖の歴史は古く、今から300年前に松島湾で始められ、その後、技術の改良により漁場が広がるなど主力養殖種目になりました。宮城県沿岸の各地域は東日本大震災の津波により、カキの養殖場も大打撃を受けましたが、現在は復活して清浄な海で育った安全で美味しいカキが全国に向け販売されています。
私が、宮城県のカキの中で、ぜひ食べてみたいと思っているカキが「戸倉のカキ」です。志津川湾の戸倉では、震災の「危機」を「機会」と捉え、カキの養殖施設を震災前の3分の1に縮小する決断をしました。過密状態だった養殖場を減らし、海の環境を改善し、「量」から「質」を追求するやり方に大きく舵を切ったのです。その結果,カキの品質が良くなり、震災前より高値で売買がされ、生産額も震災前の1.5倍になったそうです。戸倉のカキ養殖は2016年3月、日本で初となる二枚貝養殖のASC(水産養殖管理協議会)国際認証を取得しています。
また、雄勝湾でブランド化され販売されている「夢牡蠣」。「復興の夢を詰め込んだ牡蠣」ということで夢牡蠣と名付けられたカキで、一口では食べきれないぐらいの大きさで、もともとミネラルの多い海域で育っているので味も濃く、栄養成分が多く含まれているそうです。サイズや重量など自社の規格をクリアしたものだけが「夢牡蠣」となり出荷される、漁師がこだわりぬいた牡蠣とのことです。
カキはグリコーゲンという栄養素を多く含む「海のミルク」とも呼ばれる栄養価の高い食材です。宮城県にはカキだけでなく、ホヤ、ノリ、カレイなど美味しい水産物がたくさんあります。
素晴らしい自然と美味しい食べ物がたっぷりある宮城県に足を運んでみませんか?